【小説】シエンの通る道 6
その後、噂を聞きつけ集まった男数人で少年をカンラン達の店に運び込んだ。
カンランが出てったあと、リンメイは急いで店にある材料を集めていた。お昼時も過ぎたタイミングだったため、もくもくと行き倒れの人の為に料理を作り始める。…まさか運ばれてくるのがカンランよりも幼い少年だとは思わなかったが。
ーーーー…そして場面は戻る。
美味しそうな匂いで目を覚ました少年は、テーブルに広がる料理を見てダラダラとヨダレを垂らし、リンメイが「どうぞ、食べてください。」と言った瞬間から、ひたすらと己の欲のままに口へ料理を掻き込むのだった。
「ーーーーごくんっ…ぷはあぁ!…ふう。」
結局、十数分のうちに十人前の量を軽く超える程の料理をペロリと平らげ、満足そうに少年は笑顔を見せた。
「とっても美味しかったです。ごちそうさまでした。ありがとうございます。」
食事してる時とはうって変わり、思いの外、礼儀正しい。そこもリンメイとカンランをポカンとさせた。
少年をよくよく見ると、風変わりである事に気づく。白くて大きな帽子の隙間から出る髪は銀色で、大きな瞳は金色、色白で服も白いゆったりしたサイズを着ていた。
持っている荷物も少なく、肩から下げる大きめの袋一つだけ。
とても旅人とは思えない姿に、ついに口を開いたのはカンランだった。
「…お前、どこから来た?どこの誰だ?」